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怒鳴りつけてくれた上司。失敗という経験を通じて初めて味わえた達成感。 3年目の新しいジョブで新しい上司にプログラムを見せると怒鳴られた。「こんなもの客に出せない!」「こんなレベルじゃ、もう仕事をしてもらったら困る!」。予想もしなかった言葉。しかし初めて突き放されたことで自分のレベルが分かった。「なんとか私にやらせてください」と、何度もプログラムを書き直しては4カ月後に完成にこぎつけた。商品の発送を終えた夕方、自分のデスクに座りながら初めての達成感に酔いしれた。 フレックスタイム制の勤務形態で、その日の作業結果が残せればさっさと帰宅していく上司を見て、自ら時間をコントロールすることの大切さも学んだ。 ところがその後すぐに担当した運輸会社のドライバーと会社をつなぐPDAシステムの構築は、初めてお客さんの要望を直接聞いて形を作っていく仕事。参考にできる資料もなくいったいどこから手をつけていいのかわからない。「失敗しないか?」という思いがしだいに強まって全く作業が手につかない。「会社に迷惑をかければ辞めないといけない」という気持ちに押しつぶされそうになった。 上司は1日8時間でも会議室にこもってアドバイスをしてくれる。「この仕事に向いてないんじゃないか?」と指摘された。だがここで投げ出すわけにはいかない。自分の納得できるものを作りたかった。 プログラムを日に2〜3回書き直した。毎日の睡眠時間は2〜3時間。休日もノートパソコンで作業にあたって彼女とも会えなかった。4カ月後に初めて自分の作品と呼べるものが完成した。「プログラマーとしてやっていきたい」。入社して3年が経って初めて思った。 その後もナビゲーションシステムや画像編集ソフトの開発にも精力的に取り組んだ。 自分の経験をもとに部下の育成にあたる。強い個人の集団作りに夢中になる。 28歳で8年間交際を続けた保健師の彼女と結婚した。口数は少ないが感情に流されないよき相談相手。2003年からは部下を指導する立場となった。かつて「彼は協調性がないから」ということを先輩から直接言ってもらえず大泣きしたことがある。そんな思いを部下にさせたくないが、すぐにはうまく指導もできないもどかしさ。自分のペースで仕事を進められないいらだちが募る。リーダーシップやマネジメントに関する本を読みあさる。「俺がこんなジャンルの本を読むなんて…」と自分の変化にも驚いた。 これまでの経験で失敗を乗り越えさせてこそ本当の実力が身につくはずだと思った。他人に意見を求めるだけで進歩の感じられない部下に、「お客さんに出すものなんだ。ここは学校じゃない!」と言い放ち、皆の前で泣かせてしまった。「何でそんな言い方をするの!」と怒る妻に向かって言った。「資格があればできる仕事じゃないんだ。だからしっかりと叱って自立させなきゃダメなんだ!」。 幼いころから、周囲との意識の違いを感じながらもあせらず夢中になれるものを探し続けた。どうしてもなりたかったわけではなかったプログラマーの仕事でも一生懸命に取り組んだことで夢中になれた。日進月歩のソフトウェアの世界は主流となる言語や技術を勉強し直すことを求められる。しかし自分が選んだ道に後悔はない。 自分の意識をもった集団を作りたい。各自が時間に対するイニシアチブを取って、仕事やプライベートも充実させて欲しい。「そんな仲間と一緒に自分の企画したオリジナルソフトを作れたら最高ですね」と、将来の夢を情熱たっぷりに語ってくれた。 物語に関するご感想などをぜひお寄せください。 |
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