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壁を乗り越えるたびに押し寄せるマンネリ感。長男、次男の誕生が心を支える。 しかし数万円単位の案件をコツコツと積み重ねる自分に比べて、商社の友人は億単位のカネを動かし、自由業の友人はすべての責任を自分で背負っている。「社内の評価ではなくいろんな人と渡り合いたい」という想いもしだいに募ってくるなかで、長男が生まれた。「俺が死ねば彼には他に頼れる人がいない。自分が頑張らなければ、この子も頑張れない」。自分の父のように、懸命に働く姿をわが子に見せようと腹を決めた。 上司から、より大きな営業実績を挙げるために得意分野を持つようアドバイスされて、前職の経験が活かせる住宅業界や行政機関に着目する。顧客ニーズを研究して、家で妻にも意見をもらいながら考えた広告コンセプトやコピーを提案する。 後輩に指導をしていると、逆に自分自身が思い込みでアプローチ先を狭めていることにも気づく。「初心に返って当たって砕けろだ!」と自分にエンジンをかけると更に大きな売上実績を挙げられるようになった。 30歳を前にした7年目で主任に昇格。それでも営業目標は実績に応じて年々上がっていく。大口顧客のキャンセルが発生すればその穴埋めに走り回る。支局の仲間たちとの協働する手応えを得ながらも、週末の夜、営業週報を見てはため息をついた。 雨天の営業を億劫に感じたり、「この店を回るのは明日でもいいや」と自分に負けそうにもなる。「ビル・ゲイツは30歳のとき俺よりも稼いでいるよなあ…」。大きなフィールドで勝負をかけて名声を得ている若い人などを見ると、京都南部という狭い範囲で動く自分が小さく思える。 そんな気持ちにも駆られても、家に帰れば自分を待っていてくれている家族がいた。毎朝、支局近くの幼稚園まで送り届ける長男の手を握ると、「産まれた次男のためにも頑張ろう!」と気が引き締まった。 組織の統廃合で居心地のよい職場を失って、新たなステージにぶつかっていく。 31歳のときに支局の廃止に伴って本社へ異動する。働きやすかったアットホームな職場を失い、新しい環境に慣れず戸惑う日々。移動時間がかかって多くの顧客を回れない。40人ほどいる本社では、みんな自分の仕事だけに没頭しているように見える。部内には後輩がいなくなって刺激を受けることも減ってくる。 しかし、休日に趣味の「廃墟」の撮影や車好きの社外の友人と会って発散させるストレスよりも、日に日に成長する子どもたちの姿から、「この子たちに負けないように、自分も昨日よりも今日はもっと前に進むんだ」と、勇気をもらった。 小さな広告でも顧客のために効果を追求して、社内外の制作スタッフに妥協のない要求を続ける。より大きなイベントや広告をしかけては、読者が行動を起こすのを確かめて手応えや喜びを自らで確認する。 初めて大きな視点から業務や組織を考えていくことが求められている。新しい自分に向けて、上司を捕まえては職場や飲み屋で、理想の組織像を情熱的に語り続けている。 将来の働く姿が描けなかった青少年時代から、震災などで命のはかなさを目の当たりにして、今を夢中に頑張り続ける大切さに気づいた。負けそうになる自分に打ち勝ってスキルや経験を積み上げ、更に家族から力をもらって大きなステージに上っていく。決して守りに入らず常に自分を磨き続けていたい。 「子どもたちにカッコイイ父だと言われたいんです」と、確実に力をつけてきたこれまでをかみ締めるように語ってくれた。 物語に関するご感想などをぜひお寄せください。 |
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