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路上の似顔絵描きで感性がお金になると知り、自分を買ってくれる派遣会社と会う。 そんな26歳のときに仕事でIT関連会社の人と出会って、誰にも邪魔されずに自分を表現できるフリーのWEBデザインの道に光明を見出す。独学で自信をつけて、居づらくなった会社を退職した。自分で顧客を見つけるために、路上で似顔絵描きを始めた。 勇気を振り絞って街角に座る毎日。通行人の「上手いな!」という声やお礼の声がうれしい。あるときは結婚式用の50人分の発注まで舞い込んだ。自分の感性がお金になることで少しだけ自信が戻っていった。 しかしホームページの仕事は入らず、貯金は半年で底をつく。仕事を求めて登録した派遣会社の多くが表面的な技術ばかりを求めるなかで、松下エクセルスタッフだけが過去の経験を買ってくれて、京都本社の日東薬品工業を紹介してくれた。 新規事業である輸入化粧品「デルベ」の営業や販促、ホームページ制作を担当。営業初心者なのに取扱店舗での交渉を任せてもらえて、懸命に関東や関西を飛び回った。社長の人柄に惚れ込んで商品も見ずに取引を始める商談相手。「人とのつながりで商売が成り立つんだ!」と衝撃を受けた。前職で培ったフットワークや気遣いを得意先の人々は喜んでくれた。 一方、小売店に飾るPOP作成まで買って出るが、納得できるものが作れずにたびたび納期に間に合わない。ある大型店ではフェア期間が終了してしまって、東京まで謝りに出かけた。 ホームページの作成も進んでいないことを誰にも報告できず、睡眠を削って作業しては体調不良を起こす。「迷惑をかけているのに、こだわりを捨てられない…」と、日曜の夜になると冷や汗をかきながらも、ただ食べることや逆境を克服していく人物を描いた雑誌を見ては現実から逃避していた。 こだわりを捨て、生身の人間としてぶつかっていく日々。小さな手応えが積み重なる。 1年が経ってついに社長から、「他の会社ならクビだよ」と言われてしまう。「自信がないんです」と初めて上司に打ち明けると、「君ならやれると思ったから雇ったんだ」と、それでも自分という人間を評価してもらえた。 「3ヵ月後に成長してなければクビにしてください!」。スキルや能力ではなく、初めて自分自身の頑張りを認めてもらおうと、腹を括って社長に宣言した。現状を知った松下エクセルの担当者は、ホームページ担当の別の要員を派遣してくれた。 ときおり上司に助言をもらって営業活動に没頭する日々。頭を下げて店長会議で商品説明会をさせてもらい、自ら取扱店の前でサンプルを配り、デモンストレーション販売をしていくと、「瀬戸さんだからお願いできるわ」としだいに期待をかけてもらえるようになる。 顧客満足を支えに頑張っている自分、目に見える技術ではなく、人間を買ってもらえている自分に気づいた。半年後に社長が「最近、僕に怒られなくなったね」と言ってくれた。 両親や兄の姿を見て、自分も人から認められる存在になりたいと思い、それを表現できるスキルを探し求めた。理想を描いて飛び込んで、現実に直面する連続のなかでも、目の前の仕事に懸命に取り組んで予想もしなかった力を身につけ、想いを伝え続けたからこそ、自分という人間を買ってくれる人々に出会えた。 いずれは自分が作った商品で商売を始めたい。前職が今につながったように、今の経験も独立後の力になる。 「感性を含めた自分全体でぶつかりたいんです」と、あこがれの父を目指して、いよいよ本格的な挑戦が始まった。 物語に関するご感想などをぜひお寄せください。 |
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