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父の他界。母のために決めた再就職。社風には満足はしても、「やりたい仕事」ではなかった。 遠方の病院に手づくりスープ持参で毎日通い、献身的に父を支えてきた母は、落ち込んでいるはずなのにそれでも気丈に振舞おうとしている。「今までなんて甘かったんだ…。今度は私が母を支えよう」と、すぐに上司に推薦された代理店に転職した。「正社員として雇ってもらった以上3年は頑張ろう」と思った。 「顧客第一」の信念を貫く情の厚い社長や、以前の職場とはまったく逆にクレーム対応にも進んで手を貸してくれる同僚たちに刺激を受けて業務に没頭すると、1年後に女性スタッフリーダーに抜擢される。 事務から一変、電話での顧客フォローや新規開拓の慣れない業務。古株の先輩メンバーから、「ついていけません」と訴えられても、「私が支えるよ」と言う社長や前任者の言葉に「気負わなくてもいいんだ」と肩の力が抜ける。 キャンペーンやパンフの企画を率先して考えて、メンバーにも根気強く意見を求めると理解も深まり、3年の月日が過ぎていった。 29歳から担当したインターンシップ。たった2週間で成長する学生を目の当たりにして、「私は人の成長を支える仕事がしたいんだ」と強く思った。しかし、責任ある業務は投げ出せない。英会話や着付の習い事で会う友人たちが楽しそうに仕事の話をする姿が眩しい。 毎晩のようにため息まじりにうつむいて帰宅しては、パソコンで求人を探す。前の会社を訪れて明るくは振舞いながら、「今の仕事がしたくてこの会社を辞めたんじゃない…」とのあせりが募る。 ようやく1年後に業務にめどが付き、「募集対象年齢を過ぎた31歳の私が雇ってもらえるの?」と不安を抱きながらも、オムロンパーソネルの面接に行くと、それまでの頑張りを認められて正社員として採用してもらえた。登録から仕事紹介、アフターフォローも徹底している人材派遣会社である。 一人ひとりのスタッフのために、ハードな業務でも、できる限りの力を尽くす。 登録スタッフの面接から仕事の紹介までを一貫して行う。営業と情報交換を密にして、事前に職場訪問して雰囲気などまで把握することで、一人ひとりに合った派遣先を紹介していく。常に20〜30の求人案件を抱えて帰宅が遅くなることも多い。 「頑張りたい」とは思っていても新しい職場での不安を抱えるスタッフには、ときおり派遣後のフォローもする。自分自身がいろいろな職場で学んできたことも交えながら、「仕事に対する心構え」を伝えていく。そんな活動を通じて、スタッフが自分の成長を実感してイキイキと働く姿を見るのが何よりもうれしい。 将来の夢が持てなかった学生時代。定年退職間際で他界した父を見て「好きなことを仕事にしよう」と心に決めた。最初の就職先で出会った先輩や転職先の社長など、様々な人との出会いを通して、「人の成長の支えになりたい」という思いに気づいた。そしてどの職場でも精一杯頑張って身につけてきたスキルを認められて、31歳にして異業種への転職ができた。 結婚すれば家庭は大切にしたいが、多くの人と出会える仕事を手放したくはない。前職で出会った3人の子どもを抱えて働く上司を見ていると両立の道にも希望が持てる。 仕事でもボランティアでもいいから人の役に立てるよう一生働いていたい。「家族に心配をかけまいと、何年も父の病状を一人で抱えていた偉大な母にいつか追いつきたいですね」とまっすぐな目で語った。 物語に関するご感想などをぜひお寄せください。 |
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