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一人ひとりが責任感を持って働いている小さな職場。経験不足からミスを重ねる。 事務職員はわずか4人。一人ひとりが責任ある仕事を着々と進めていく。遅れを取り戻すために残業をしていると1人の先輩に「残業代を稼いでいるんじゃないの?」と言われた。入社して3〜4カ月間は、禁止されていた家での持ち帰り仕事をした。限られた時間のなかで数々の作業を処理する。経験不足から、配布物の配り忘れや切手の貼り間違いなどのミスを重ねてしまう。「常識では考えられないわ」。先輩の声が耳に入ってくる。しかし、辛い思いを相談できる同僚はいない。 ある店舗からクレジットカード処理をする機械が使えないという連絡があった。「故障についてはコールセンターに連絡してください」と言うだけで済ませる先輩。「私ならもっと丁寧な応対をするのに…。先輩には何か別の意図があるのかもしれないけれど…」。疑問だけが残った。 「1年目はこの職場のやり方を学ぶ期間。何でも受け入れよう」。そう心に決めた。イヤなことがあっても、エアロビクスやフラワーアレンジメントなどの趣味に没頭していると「また明日から頑張ろう」と思える。家族や友人に話を聞いてもらって気持ちを楽にさせては前向きに仕事に取り組んだ。 2年目には、手書き書類をデータ化して仕事の効率化を図ったり、役員から言われる前に必要な書類を用意したり、自分なりにできることを考えて自分で手を打っていった。店舗の方々との話し合いを通して、「ありがとう」と声をかけられる機会も増えていく。3年目には、多くの人から「頼りになるわ」と言ってもらえるようになった。 結婚、4カ月間の産休。子育ての孤独を乗り越え、家事と仕事の両立は続く。 28歳で結婚してその翌年に妊娠。職場で出産後も仕事を続けた人はいなかったが、今の仕事は続けたい。上司である事務長に相談した。「出産後も今までと同じように仕事できる?」。何度も気持ちを確認されたあと、産休の許可を取ってくれた。 4カ月間の産休。子どもと二人きりの生活に「閉じこめられている」と感じた。3時間おきに泣く我が子の気持ちがわからない自分がもどかしい。誰とも話せない1日を取り戻すかのように、夫が帰宅すると毎日愚痴をぶつけた。夫は積極的に家事に協力してくれるが、日中は自分1人。「何で私ばかり…」という思いが高まっていく。「育児ノイローゼ」という言葉が頭をよぎった。仕事に復帰したときは、「いろいろな人と話ができる!」と胸をなでおろした。 初めて後輩を教える立場になった。限られた時間のなかでできるだけアドバイスをして、この仕事の楽しさを感じてもらいたい。女性でありながら30年のキャリアをもつ事務長は、長年の経験から絶大な信頼を受けている。目標となる人。まだまだ勉強することは山のようにある。 2歳になった息子の保育園の迎えは近くに住む両親に頼んでいる。休日に家族と過ごす時間が何よりも大切になった。家族の協力があるからこそ正社員として仕事を続けていける。 幼いころから好奇心旺盛な性格で、いろいろな自分の世界を持っているからこそ、一つのことにとらわれずにコツコツ前へ進み続けられた。高校時代や産休中は一つの世界に押し込まれて抜け道がなくなっていた。これからも一番大切な家族を中心に考えながら、「いつもニコニコしてくれるからホッとするわ」と言われる笑顔で、自分に関わるすべての人々に元気よく話しかけていく。 物語に関するご感想などをぜひお寄せください。 |
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