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24歳で本社に配属されるが、次々にかけられる高い期待や人間関係に頭を抱える。 他店からの引き合いもあるなかで、入社6年目には本社の商品仕入部への配属。何が期待されているのかがわからず緊張したが、「自分らしく背伸びをせずに期待に応えよう」と思えた。もう24歳。しかし、同期が美容師を目指して退職したと聞いても動揺しなかった。 上司の仕事の進め方を間近で学びながら内勤業務にも自分のリズムで取り組む。出張もするようになって全国の店舗に知り合いができて、指名でイベント応援に借り出された。 ところが、ときに海外の発注元にアクシデントが起こって商品が期日に届かない。現場経験の長い自分を頼って全国30店舗からの催促の電話が集中してしまう。店側の要望をキッチリ聞きながら「こっちも頑張っています。他の商品も勧めてみてください」と伝えていく。そのうち担当外の業務の相談も受けるようになり、「数井さんには話しやすいわ」と言ってもらえた。 上司からの信頼も厚くなり、どんどん職場の重要事項を任されて仕事が山積みになると同時に、人間関係にも頭を痛めた。久しぶりの出張先で会った同僚に言われた。「誰かわからなかったわ」。激務とストレスでそこまで痩せていった。 長期休暇に友人と会ったり旅行をして気晴らしをしてみる。母に相談をすると「辞めてしまえばまた一からの積み上げよ」と返された。「そうか、今までもいろいろ乗り切ってきた。アカンかったらアカンかったときね」。そう自分に言い聞かせて目の前の業務にコツコツ打ち込んだ。 突然の現場への異動。交流を図って信頼を取り戻した。30歳で総合店舗を任された。 27歳のある日の夕方、突然上司から「明日から店長として現場に戻ってくれ」と告げられた。トラブルによる店長交替。早速あいさつへ向かったホテルの関係者たちの目は不信感であふれていた。 「自分にやれることをやるだけ。きっとわかってくれるはず」。過去の経験からそう思った。信頼回復のためにあえてホテル関係者との交流を図った。前任者とのやり方の違いにとまどいながらも3名のスタッフにねばり強く指導する。半年後にはホテルの婚礼窓口の責任者から「何でも言ってや。一緒に売上を伸ばしていこうな」と言ってもらえた。 2003年の夏には14名の総合店舗の店長になるが、広い店舗でスタッフはバラバラな行動をしている。自分のキャラクターをわかってもらおうとコミュニケーションをとり、進んで力仕事でも引き受けながら、一人ひとりに話しかけ続けた。最近では「みんな仲よくなったよね」とスタッフに口々に言われている。 衣裳を通して接客がしたいとだけ思って就職した。会社からの期待に応えたくてコツコツと努力を重ねると次々と重要な仕事を任されていった12年。「わからないことは聞けばいい。間違ったら謝ればいい」。役割や責任を与えられてもそんな無理のない姿勢で、心を開ける友人に出会った高校時代のように、自分の考えを素直に伝え続ければいつでもわかり合えた。仕事でさまざまな人と関わるなかで「人間的成長」をさせてもらっているような気がする。 結婚すれば家族との時間を大切にしたい。今では祖母に献身的な介護をしている母や「子どもに教えられる」と語る友人を見ていると、家庭での新たな人間関係のなかでもまた「人間的成長」ができる気がする。その日が訪れることを楽しみにしながら今日も出会うすべての人に話しかけていく。 物語に関するご感想などをぜひお寄せください。 |
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